下水疫学について学びました。

ゴールデンウイークが終わりました。コロナ禍で我慢を強いられていた皆さんが一斉に外に出て、行楽地はどこも人であふれていました。それでも楽しそうに過ごしていらしゃる様子にコロナもひと段落か、WHOも終息宣言出すって言ってるし。マスコミでは5類へ移行することで生活や医療についての変化を取り上げています。私も「ふもと理恵ニュース137号」で5類移行での横浜市の対応についてまとめました。一方で、第9波の心配があるとも言われたり、新興感染症が現れる周期が短くなっているとも言われています。

新型コロナウイルス感染症が「5類」に引き下げられた今日、下水疫学調査について勉強する機会をいただきました。講師はユウ ヘイキョウ先生(早稲田大学人間科学学術院健康福祉学科教授・神奈川県立福祉保健大学大学院ヘルスイノベーション研究科教授)です。

まず、日本のコロナ対策の総括をしなければいけないというお話でした。コロナ死亡者が他国に比べて少ない原因はPCR検査の不足や、医療・治療方針の違いがあることを指摘されました。このことは、様々な機関からも指摘がありますが、政府は日本のコロナ対策が万全であったから死亡者数が少ないとしています。

神奈川県は県立福祉大と一緒に下水に含まれる新型コロナウイルスの遺伝情報を検出する研究を重ねていて、相模川沿いの下水処理場でサンプルを採取し、感染者数・入院者・重症者数の将来予測に使っています。この予測から、ベットの確保や医療従事者の確保の増減ができます。この下水疫学調査は札幌市と神奈川県が先進例です。

一方、アメリカでは国全体、50州、3006郡で毎週下水から調査をして予測をしています。研究組織も20あります。日本の公衆衛生学は残念ながら米国やヨーロッパに比べて20-30年遅れていると厳しいご指摘でした。

横浜市は「週に一度下水サンプルを厚労省と国交省と内閣府の合同下水疫学チームに送っていて、その結果はネットで見られる」という説明を環境創造局の担当課から聞きました。これはどう活かされているのかユン先生に質問しましたら、合同チームではなくそれぞれでやっているし、あくまでも試験的取り組みで、ネットで簡単にみられるところに出されていないということでした。今年度いっぱい予算を付けて送っているのだから横浜市がどう活かしていくのかが大事です。これについては見事な縦割りで「健康福祉局所管の衛生研究所の担当になる」ということでした。これは本当にもったいない。せっかく県が検査をして結果を発表しているのなら、横浜市も衛生研究所を通して一緒にやれば、神奈川県内の予測のはより一層進むのではないかと思いました。

これは新型コロナウイルスだけでなくインフルエンザや今後起こるかもしれない新興感染症にも対応できます。しっかりと活用できるようにし第9波に対しての備えや、各医療機関にエビデンスに基づいて様々な要請ができるようにしていくことが大事です。