視察三日目は、札幌市東区にある市会福祉法人「麦の子会」を視察し、障がいのある子どもや家族の支援の在り方を学びました。のんびりしたまちなのに、この周辺だけ物々しい雰囲気が…、私たちの視察の後、岸田総理が視察に入るということで、近辺の不審物調査や警護の体制がしかれ、関わる人の数にびっくりしました。障がい死者の支援の実態を見ていただき、具体的な国の支援の在り方がさらに充実することを願います。
◆社会福祉法人麦の子会
1983年に大学生47人が無認可の施設としてスタートさせ、13年後1996年に社会福祉法人麦の子会としての認可を受けました。その後現在に至るまで、関わったお子さんや家族の成長に沿って事業が広がり、なんと650人ぐらいの職員が働いています。
同法人の「むぎのこ」は、発達に障害のある就学前の子どもに対して、発達の支援を専門的に行う施設で、「発達支援」「家族支援」「相談支援」「地域支援」の4つの柱に、子どもの個性に合わせた支援を行っています。
「発達支援」では、その子らしい育ちができるように、一人一人のオーダーメイドの支援がおっこなわれています。
「家庭支援」では、家族への心理支援のほかに、先輩ママを中心としたホームヘルパーが自宅を訪れて生活支援も行っています。同じような経験をしてきた先輩ママが寄り添うことの意味は大きいです。
「相談支援」では、発達や子どもの障害についてはもちろん、その子の不登校や思春期の様々な問題、夫からのDV、妊娠に関する悩みまで幅広い相談について、心理士、看護師、栄養士、保育士などが電話で支援を行っています。先輩ママの中には、その対応のために資格を取られた方もいらっしゃいます。
「地域支援」では、子どもが通園・通学している保育園・幼稚園、学校へ行き、専門的な支援を提供しています。自立支援協議会こども部会、子ども子育て会議など行政も含めた他機関とも連携し、これまでの取組で地域全体が困り感のあるこどもへの理解が深まっています。
◆地域の中で育つ、働く、見守る
施設での説明の後、マイクロバスに載せていただき地域をぐるりと回ること約20分。地域の中に、麦の子会の様々な施設が点在していることに驚きました。開発された住宅街には、ほとんどが麦の子に通っている、通っていたご家族がお住まいで、障がいのある人は作業所に通い、保護者は先輩ママさんとして施設で働いています。グルーフホームもアパート形式よりは普通の家屋で、支援者の方が、庭の掃除をしながらバスに手を振ってくださいます。
職員の数が650人ほどいると聞いて、そのマネジメントの難しさがあるのではないかと思いますが、先輩ママの働く場でもあり、それぞれの子育てを最優先しながら働いているようで、皆さんの表情が大変穏やかなことが強く印象に残っています。専門職としての資格はもちろん必要ですが、経験してきたからこそわかることを伝えられる人がそばにいることは心強いです。
◆視察を終えて
三日間の視察は、中身の濃い内容でした。今後、いじめ防止対策については、常任委員会の中でもかなりの時間を割いて議論していくことになりますので、横浜市全体としての取組と学校への支援、子どもへの早い支援など参考にしなければなりません。規模の違う町ではあるけれど、横浜市を区ごとや連合町内会ごとに見た時の子育て支援という考え方の必要性も感じました。特色ある図書館の考え方、障がいのあるこどもとその家族と地域をマルっと支援するという大きな発想等々、宿題をたくさんいただきました。