北海道江別市に来ました。岸部県議と同じ「ヤングケアラー支援の在り方」について課題を持っていますので、ご一緒しました。お盆を過ぎたとはいえ、8月の北海道はまだまだ観光客でにぎわっています。それを考慮せずレンタカーを借りるのに時間がかかり大遅刻でありましたが、快く迎えていただきましたことにまず感謝申し上げます。
江別ケアラーズ、ヤンサポセンター長で、北海道ケアラーズの代表理事でもある加藤浩一郎様から詳しくお話を伺いました。
9年前から江別市を中心にケアラー支援を時間をかけて広報しながら続けてこられました。2022年にケアラー条例ができるまでの3年間が条例作成にもかかわってきました。そして、民間での機関がない中で条例成立後は「北海道ヤングケアラー支援体制強化事業」を委託され北海道ヤングケアラー相談サポートセンターがスタートしました。
現在の事業は、相談窓口、普及啓発、関係機関連携があります。
普及啓発しながら関係機関連携
北海道各地から勉強会などで声がかかり、普及啓発に飛び回っていらっしゃいます。そこで気を付けていることは、それぞれの地域の特性を生かした支援活動がその地域で行っていけるようにサポートします。各地域から相談の入口→支援方法を提示しつつ→コーディネーターに返すという流れが主です。江別市でやっていることが、どこでも同じようにできるわけではない。支援活動に関わる人の資源がどうなっているか専門職や民生委員がどう参加しているかなど、これまでの活動を生かすことを伝えています。こうして江別ケアラーズ・ヤンサポのような支部が増えていくことをめざしています。
横浜市において考えると、18区にそれぞれ同じように行政の組織は置かれていますし、社会福祉協議会がありますが、繋がり方は少しずつ違いがあるかもしれません。区の特性を生かしながら18区がつながっていくことを考えなければなりません。
ヤンサポの相談は雑談
若い人は勉強にバイトにそしてケアにと大変忙しいので、ここに座って相談に来てといっても来られないし、相談室というのは利用者にとって足を運ぶハードルが高いので、バイト先の近くや公園で会ってまずは雑談から始める。そうしたことからマックの一部に集まっていわゆるピアサポートのような活動もあり、居場所づくりも堅苦しくないように集まれる場所を考えている
今の時代はネットの掲示板なども居場所なのかもしれない。
相談は、雑談から当事者が自分が何に困っていて苦しいのか、どうしたいのかを言えるようになることだ。
相談の件数は年間で100件程度。これが減れば委託費も減ってしまう。ぜひ相談の中身を見て予算を決め、事業者への支援予算が欲しいという切実な声を聞きました。これは、福祉関係に携わるすべての事業者から聞こえてくる声です。期間を区切ったり、対応した件数だけで補助金を切ったり減らしたりすることなく、事業者の社会的活にしっかりと目を向けていかなければなりません。
ふもとの疑問に答えて
学校で家族等のケアをして困っている子どもに対して、スクールソーシャルワーカーなどを通して家事支援につなげていくことや、NPO法人などで、ケアラーの子どもたちでイベントを行ったりと支援が広がっているが、何かしっくりこない。家事支援を本当に受け入れたいと思っているのか、イベントを実施して当事者にどのような反応があるのか。それぞれの支援者が熱心に取り組んでおられることは十分に理解しているうえで、ずっとくすぶっている思いです。
これについて加藤さんからは、いろいろある支援メニューを当てはめていくのではだめですとすっと落ちるお答えをいただきました。雑談相談から、当事者の声を待ち、困りごとをどう解決していくのが一番しっくりくるのかを見つけていかなければ、大人の押し付けになるだけで、当事者の満族や人を頼って地震の自立につなげていくことにならないということです。話をして聞いてもらえばそれでいい。家でない場所でちょっと休みたい。ひょっとしたらバイトの時給が上がればいいということもでてくるかも。
まだまだ「ヤングケアラー」という言葉は浸透していません。でも、確実にヤングケアラーはいます。行政や支援機関と一緒に考えていかなければいけない重要な問題です。