6月30日から7月2日までの視察報告を記します。
● 乗合バス事業の再構築に向けた取組について
広島市では、広域経済圏のヒト・モノの「循環」と地域住民の活動による「循環」を直接支えている「移動」を容易にするため、事業者間の「競争」を原則としてきた公共交通を、道路と同様に「社会インフラ」と捉え、「協調」して運用するものへと舵を切りました。
国の支援も引き出しながら、利用者の利便性を重視した「広島型公共交通システム」を構築することとしています。
そのモデルケースとなるべく、まずは極めて厳しい状況にあるバス事業について再構築に取り組んでおり、令和6年2月には「共同運営システムによる乗合バス事業の再構築に向けた基本方針」を策定しました。
乗合バス事業は人口減少・少子高齢化やモータリゼーションの進展等により厳しい経営環境にあります。それに加え、コロナ禍を契機とした人々の行動変容による収支の著しい悪化や運転手不足の深刻化などの様々な要因により、これまでどおりの各事業者単独での経営努力では、安定的・継続的なバスの運行や、将来に向けた事業改善が困難な状況になっています。
こうしたことから、令和4年度にバス事業者8社、学識経験者及び広島市等で構成する検討会議において、持続可能性と利便性の高い乗合バス事業の構築に向けて検討を重ねた結果、「官民それぞれの強みを組み合わせる共創により全体最適化を図る共同運営システムの構築が必要」とされたことから、極めて厳しい状況にある乗合バス事業について、「広島型公共交通システム」のモデルケースとなるべく、新たな連携体制としての共同運営システムを構築し、事業の再構築に取り組んでいます。

まだ始まったばかりのモデル事業ですが、広島市英のバスはなく、民間バス会社8社を市が中心になって新たなバスサービスを構築していくことと、広島駅に向かってくる路線がドル箱路線ですが、8社の安定経営がどこまで担保されるのかは、説明を聞いている限りでは不透明です。
横浜市は、市営バスと民間バスが重ならない路線で運行されていることと、ターミナル駅が散在していることから、官民の連携の在り方は、広島とは少し違ってきます。
いずれにしても、バス事業存続のための人材確保や地域交通への進出なども併せて考えていかなければいけない課題です。