虐待や保護者の病気などなどの理由で保護者の元で暮らすことのできないこどもは横浜市に約150人おり、施設入所や里親委託で安心して生活できる場所が必要です。
横浜市には「横浜市社会的養育推進計画(令和7年度~令和11年度)」があります。この計画の中で、令和11年度までに家庭的養育を行う里親委託率目標値を36.8%としています(令和5年度20.7%)
里親やファミリーホームへの委託に向けた現状は、里親等委託こども数は依然として少ない状況にあります。それには、養育里親数の不足、ファミリーホーム数の不足、課題のあるこどもの委託、などの課題があります。令和5年9月からNPO法人が里親フォスタリング機関として全市をカバーして里親フォスタリング事業を実施し、まずは里親登録者の確保を重点に事業を行っています。今後の里親支援センター化に向けた課題整理が必要です。
こうした現状と課題がある中、里親制度啓発イベントが今年も市庁舎1階アトリウムで開催されました。
トークセッションには、ぴあ応援団で活動する里親家庭出身の学生2名、横浜養育里親のご夫婦、里親支援専門相談員、静岡大学白井教授の6名です。
※ぴあ応援団とは、社会的養護や困難な環境で暮らすこどもたち、支援する大人たちに向けて情報を発信し、こどもたちの明るい未来を切り拓くために様々な活動をしている団体です。
里親の元に来ることの不安をずっと口にしていたぴあ応援団の男性が、最後に「出会いがくれたものは何?」と言う質問に『里親に出会ったこと自体が自分へのビックプレゼントです』と!こどもが不安を抱えながらも安心できる場所に辿り着ける家庭での養育の意義が伝わりました。
支援専門相談員からは、こどもの「いや」という言葉の向こうにある不安をしっかり受け止めながらマッチングを進め、ゆっくりと関係を作り上げていくことの苦労が語られました。

里親になるということには、かなりの決意が必要だです。里親委託の目標値の達成だけにこだわることなく、里親になろうとしてくださる方をしっかりと支援していける体制づくりが必要です。終了後、こども青少年局職員さんと「家庭支援センター設置の議論がどこまで進んでいるか」について話をしました。検討は進めていて、課題の洗い出しをしているとのことでした。
何より、こどもの最善の利益を社会全体で作ろうとする歩みを止めないようにしなければなりません。