「市民活躍・地域活性化推進特別委員会」視察で、北海道NPOサポートセンターを訪問し、NPO、行政、専門家、金融機関、地域団体、若者や高齢者など、多様な主体が連携して地域課題に取り組むための「中間支援」のあり方についてお話を伺いました。地域では、子育て、高齢者支援、障害、生活困窮、地域交通、まちづくりなど、さまざまな課題があります。そして近年は、一つの団体や行政の一つの部署だけでは解決することが難しい、複雑な課題も増えています。そこで重要になるのが、異なる立場の人や組織を「つなぐ」役割です。
北海道全体をつなぐネットワーク
北海道は非常に広く、地域によって抱えている課題も異なります。そのため、札幌だけですべてを支援するのではなく、旭川、室蘭など各地域のNPO支援組織が「全道中間支援センターネットワーク」をつくり、日常的に情報交換を行っています。年に一度は各地域が持ち回りで研修・交流会を開催し、地域課題や支援事例を共有しています。コロナ禍でも、各地域で何が起き、どのような支援が必要なのかを把握する上で、このネットワークが力を発揮したとのことでした。印象的だったのは、すぐに具体的な事業につながらなくても、関係を簡単に切らず、「つながり続けること」を大切にしている点です。何か問題が起きてから連携先を探すのではなく、普段から顔の見える関係をつくっておくことが、いざという時の連携につながります。
弁護士や金融機関とも「日頃からつながる」
専門家との連携も進められています。札幌弁護士会とは連携協定を結び、無料相談や実務講座などを行うだけでなく、定期的にプロジェクトチームの会合を開いています。必要になった時だけ弁護士を紹介するのではなく、専門家にも日頃からNPO活動や地域課題を知ってもらうことを重視しています。また、税理士、社会保険労務士、大学教授なども運営に関わっています。金融分野との連携や、北海道NPOファンドを通じた助成も行われています。助成して終わりではなく、その後の運営相談やプロジェクトを通して団体との関係を続け、活動を支えていることも特徴です。
行政の「縦割り」を越える連携
特に興味深かったのが、複数の分野にまたがる地域課題への対応です。例えば、「LGBTQ」と「障害」という二つの課題が重なるケースについて、行政の複数部署、当事者団体、NPOなどが一緒に話し合う場を設けています。市民が抱える困りごとは、行政組織の担当部署に合わせて発生するわけではありません。一つの課題に福祉、子ども、教育、地域など複数の分野が関係することは少なくありません。そうした時に、行政と市民団体をつなぐだけではなく、行政内部の部署同士も含めて必要な人をつないでいくことも、中間支援組織の大切な役割だと感じました。
若者や高齢者を新たな地域の担い手に
地域活動の担い手づくりについても伺いました。若者向けには、大学生などが地域に入り、農作業を体験したり、地域住民と話し合ったりするインターンシップを実施しています。単なるボランティア体験ではなく、地域の現状を知り、地域課題について考える機会をつくっています。一方、高齢者についても「支援を受ける側」としてだけではなく、これまでの仕事や人生で培った経験を地域で生かすことができます。単に「ボランティアを募集します」と呼びかけるのではなく、その人が力を発揮できる「役割」をつくることが大切だというお話は、地域活動の担い手不足を考える上でも大変参考になりました。
NPOの「終わり方」まで支える
もう一つ注目したのが、NPOの解散や事業承継への支援です。地域活動を長年続けてきた団体でも、中心メンバーの高齢化や後継者不足によって活動を続けることが難しくなる場合があります。これまでの中間支援は「NPOを立ち上げる」「活動を成長させる」支援が中心でしたが、これからは、活動を誰かに引き継ぐのか、他の団体につなぐのか、あるいは適切に活動を終えるのかというところまで支援する必要があります。長年積み重ねてきた地域活動やノウハウを、団体の解散とともに失わせないという視点は、今後ますます重要になると感じました。
横浜でも「つなぐ力」をさらに
今回の視察から、横浜市にも生かせる点が多くあると感じました。横浜には18の区があり、それぞれに市民活動団体、自治会町内会、社会福祉協議会、企業、大学、専門家など、多くの地域資源があります。大切なのは、新しい組織を次々につくることだけではなく、すでに地域にある人材や団体を、区や分野を越えてつなぐことではないでしょうか。18区の中間支援機能の横の連携、行政の部署を越えた地域課題への対応、弁護士や税理士など専門家との継続的な関係、若者や退職後の世代が地域活動に参加できる仕組み、そして地域団体の事業承継への支援など、横浜でも検討できることがあります。地域課題が複雑になるほど、行政だけ、NPOだけ、地域だけで解決することは難しくなります。それぞれが持つ力を生かし、「誰と誰をつなげば解決に近づくのか」を考え、その関係を育てていくこと。北海道NPOサポートセンターの取り組みから、これからの地域づくりに必要な「つなぐ力」の重要性を改めて学ぶ視察となりました。

