シニア世代の力を地域へ  認定NPO法人シーズネットを視察しました

横浜市会「市民活躍・地域コミュニティ活性化特別委員会」の二か所目の視察で、札幌市を拠点に活動する認定NPO法人シーズネットを訪問しました。少子高齢化が進む中、シニア世代の社会参加や仲間づくり、地域の居場所づくりをどのように進めているのか、具体的な取り組みについてお話を伺い、意見交換を行いました。

「人生に定年はない」を理念に

シーズネットは2001年に設立され、「人生に定年はない」を理念に、「健康づくり」「仲間づくり」「居場所づくり」を柱として活動しています。会員数は約700人で、札幌市だけでなく旭川市や函館市にも活動の輪が広がっています。女性会員が多い一方で、男性は活動内容や役割が明確な場合に参加しやすい傾向があるとの説明がありました。長年にわたりシニア世代の社会参加を支えてきた団体ですが、運営は基本的にボランティアによって支えられています。大きな事業収入がない中でも、会員同士が力を出し合いながら活動を継続していることが印象に残りました。

趣味を入口にした26のサークル活動

シーズネットでは、合唱、歩こう会、ゴルフ、モルック、麻雀、片付けクラブ、男の料理教室など、26のサークルが活動しています。こうした活動は、単に趣味を楽しむだけではありません。定期的に外出するきっかけとなり、健康を維持し、仲間とのつながりをつくることで、高齢者の孤立防止にもつながっています。特別な知識や経験がなくても参加できる活動がある一方、自分の特技や経験を生かして講師や運営側として関わることもできます。シニア世代が「支援を受ける側」にとどまらず、地域活動の担い手として活躍できる仕組みがつくられていました。

身近な地域の居場所「サロン・コロハナ」

豊平区の団地集会室では、地域の居場所として「サロン・コロハナ」を週3日開設しています。歌声サロン、グラウンドゴルフ、カーリンコン、手品、体操、コミュニケーション活動など、多彩なプログラムが行われ、参加費は1日300円です。歌声サロンには約30人が参加し、合唱団の指揮者による進行やギター伴奏、カラオケなどを楽しんでいます。会員や地域住民が持つ技能を生かし、手づくりで運営されている点が特徴です。身近な場所に、決まった曜日に行けば誰かに会える場所があることは、一人暮らしの高齢者をはじめ、地域との接点が少なくなった人にとって大きな安心につながります。

暮らしの課題を学ぶ市民向け講座

シーズネットでは、サークル活動やサロンのほか、市民公開講座や「暮らしのアドバイス講座」も開催しています。講座では、介護保険、住まい、遺言、お金、認知症予防など、高齢期の暮らしに関わる幅広いテーマを取り上げています。専門家だけでなく、知識や経験を持つ会員が講師を務めることもあります。また、札幌市住宅管理公社と連携し、高齢者施設や住まいの選び方を学ぶセミナーも実施しています。住まいに関する相談が増えたことを受け、「安心住まいサポート」という新たな団体の設立支援にもつながりました。日頃の活動から地域の困り事を把握し、必要に応じて専門的な支援や新たな事業へつなげている点は、大変参考になりました。

活動成果を発表する「晴れの舞台」

「地域支え合いサミット」では、地域のサロンや団体が日頃の活動を発表し、作品の展示や販売などを行っています。日常的な活動の場に加え、その成果を多くの人に見てもらう「晴れの舞台」があることで、参加者の目標や生きがいにつながります。また、他の団体の活動を知り、新たな交流や連携が生まれる機会にもなっています。横浜市においても、地域で活動する団体が互いに取り組みを知り、活動成果を発表できる場をつくることは、地域コミュニティの活性化につながると感じました。

ボランティア運営を続ける難しさ

シーズネットの活動は、多くのボランティアによって支えられています。その一方で、活動を長く続けていくための財政基盤や担い手の確保が課題となっています。人気の麻雀サークルでは、参加希望者が多いものの、指導者が不足しているため受け入れ人数を制限しています。また、男の料理教室では参加者が減少し、活動の継続が難しくなっています。参加者を増やすだけでなく、教える人や運営を担う人をどのように育て、支えていくかが重要であることが分かりました。

札幌市と横浜市に共通する地域課題

意見交換では、札幌市と横浜市に共通する課題として、一人暮らし高齢者の増加、町内会・自治会や老人クラブの担い手不足、地域のつながりの希薄化などが挙げられました。これまでの地域組織だけに参加を求めるのではなく、趣味や関心のある活動を入口として、無理のない範囲で地域と関われる選択肢を増やすことが大切です。特に男性の参加を促すためには、単に「交流しましょう」と呼びかけるだけでなく、活動の目的や具体的な役割を分かりやすく示す工夫も必要です。

シニア世代が活躍し続けられる横浜へ

今回の視察を通じて、シニア世代を支援の受け手としてだけ捉えるのではなく、豊富な知識や経験、技能を持つ地域の担い手として、その力を生かせる仕組みを整えることの重要性を改めて認識しました。横浜市においても、身近な場所で気軽に参加できる居場所の確保、活動を支える人材の育成、地域団体や専門家、行政との連携が必要です。さらに、日頃の活動成果を発表できる場や、団体同士が交流できる機会をつくることで、参加者の生きがいや活動の継続、新たな担い手の発掘につなげることができます。シーズネットの実践を参考に、シニア世代が自分のできる範囲で地域とつながり、いきいきと活躍し続けられる地域コミュニティづくりに取り組んでまいります。